今回のブログは大学の授業についてのブログです。これからも毎週多彩な講師の方に来ていただく、大学院特別講義[リフレーミング]の授業を聞いてのメモや、自分の感想などを書いていきます。
第11回目の先生は、情報科学芸術大学院大学の城一裕さん。
城一裕|じょう・かずひろ
1977年生まれ。研究者・アーティスト。IAMAS[情報科学芸術大学院大学]講師。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)卒業・修了。東京大学大学院博士課程満期退学。日本アイ・ビー・エムソフトウェア開発研究所、東京大学先端科学技術研究センター、英国ニューカッスル大学 Culture Lab、東京藝術大学芸術情報センターを経て、現職。
今回はIAMASの城さん。
大学でのプロジェクトからいくつか紹介していただきながら講義して下さいました。
スライドがSlide Shareにアップされていたのでシェア。
車輪の再発明プロジェクト
車輪の再発明ということばは、このブログを読んでくださってるエンジニアの人はくわしいのかな。
車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、英: reinventing the wheel)は、車輪を題材にした慣用句であり、世界中で使われている。「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに(または意図的に無視して)、同様のものを再び一から作ること」を意味する。
はてなキーワードを見ると、
プログラミング言語には標準で提供されている機能(関数など)があるが、それらを再作成してしまうことを指す。しかし、標準で提供されているものは注意深く検討した上で作成されており、バグは少なく、処理も速いため、余程のことがない限り作成のために使った時間と金をロスするだけである。
もう一度発明する必要もないことを、(あえて、の場合もある)もう一度発明するっていう皮肉の慣用句、ですね。
で、城さんはこの「車輪の再発明」という言葉を冠にしたプロジェクトをやっていらっしゃいます。どういうことかというと、
過去の技術は現代に近づくにつれて加速度的に時代遅れのものとなっています。このプロジェクトでは実践を通じて歴史を読み替え、ありえたかもしれない「今」をつくりだします、参加者は、旧来のアートやデザインという枠に囚われること無く、各々の関心に応じたメディアの過去を読み解き、現在の素材や加工技術、社会情勢を踏まえたそのあり方を探っていきます。例えば、レコードプレイヤーではなくレコード、プロジェクターではなくプロジェクション、を再発明することで、音楽や映像、が大きく変わり得るように、対象の製作を通じて、表現のあり方そのものを再定義することを試みます。
「実践を通じて歴史を読み替え、ありえたかもしれない「今」をつくりだす」という、不具合がありあえて再発明を行うというよりは、既存のテクノロジーの再構築する、そもそも歴史を読み替える、というプロジェクト。
「写植の文字盤による多光源植字」「針穴をあけた紙を通したRGB光源による網点プロジェクション」
「写植の文字盤による多光源植字」は写植の再発明。
「針穴をあけた紙を通したRGB光源による網点プロジェクション」は、プロジェクションの再発明。
引用:IAMAS 2014 | Ryota Kuwakubo
紙のレコード
カッターで紙の表面を罫書くことで、紙のレコードがつくれる。レコード、針が溝の上を振動するとそれに応じた電圧の変化が生まれて音がでる。だから紙でも出来る。
生成音楽ワークショップ「紙のレコード」 | 情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
「紙のレコード」の作り方 -予め吹き込むべき音響のないレコード編-
世の中にはいろんなレコードつくってるひとがいる……。せんべいレコード、チョコレートレコード、氷のレコード、木のレコード……。
聞く音楽と、演奏する音楽
録音されたものを再生することによって聴かれる「音楽」、それは人間が創りだした何らかの作品であることは確かだとしても、音楽ではない。それはちょうど写真が絵画ではなく、映画が演劇ではないのと同じで、そのあり方において本質に異なっている
三輪眞弘
聞く音楽と、演奏する音楽、ふたつの音楽がある。音楽家と聴衆との曖昧な境界。
参加する音楽
The SINE WAVE ORCHESTRAへ参加するには | How to participate?
- 演奏にはサイン波を発することのできる機材や楽器を持ち込んでください。
- 歪んでいたり変調されていないサイン波を、一人ひとつだけ使うことができます。
- 音量は話し声と同じくらいを目安にしてください。
- 周波数に制限はありません。
- 電源を内蔵しているものをご用意ください。(会場の電源は使用できません)
人々が聞くことと同時に音の生成に携わる、観客自身によって演奏される参加型の音楽。おのおのの参加者が他者にとっての聴衆であり、かつ演奏者であるという、音楽家と聴衆との曖昧な境界がそこにはあります。
今回のリフレーミング
車輪の再発明怖いけど、もっとどんどんやるといいんだろうなと思いました。怖がらないで。
展示情報:マテリアライジング展Ⅱ
車輪の再発明プロジェクトが展示参加されるそうです。